広告予算と運用最適化でインプレッション約2倍・SEM売上30%増を実現

ケーススタディ

事例:ROAS最適化で機会損失を防ぎ、売上を最大化した施策
  • クライアント:外資系アパレルブランドの公式ECサイト
  • 駆使したスキル:フルファネルマーケティング、デジタル広告戦略、ROAS最適化&予算管理、グローバルアセットのローカライズ活用、ベンダー・ステークホルダーマネジメント
  • 役割:プロジェクトリード(広告戦略・予算配分方針設計、ベンダー連携、ファイナンス連携)

概要

外資系アパレルブランドの公式ECサイトにおいて、デジタル広告戦略の改善を担当しました。

当時の広告運用は、売上獲得に直結しやすいSEM広告が中心でした。

SEMは購買意欲の高いユーザーに効率よくアプローチできる一方で、検索需要そのものを増やす施策ではありません。

ブランド検索ボリュームが減少傾向にあるなかで、今後も安定して売上を伸ばしていくためには、既存の検索需要を刈り取るだけでなく、新しいユーザーとの接点を増やし、ブランド認知を広げる必要がありました。

そこで、SEM広告を売上獲得のベース施策として維持しながら、ディスプレイ広告・動画広告を活用した認知施策を強化。

広告運用を、獲得偏重の施策から、SEM・ディスプレイ・動画を組み合わせたフルファネル型の広告戦略へ転換しました。

その結果、年間広告全体のインプレッションは前年比で約2億から約4億へ拡大し、Webサイト全体のセッションは約20%増加。

さらに、SEM広告では2021年11月・12月の売上が前年同月比で約30%増加しました。

背景:SEM偏重だった広告運用

背景:SEM偏重だった広告運用

当時のデジタル広告は、SEM広告に大きく依存していました。

SEM広告は、すでに商品やブランドに関心を持っているユーザー、あるいは購入意欲が高いユーザーにアプローチしやすく、EC売上に直結しやすい施策です。

そのため、短期的な売上獲得の観点では非常に重要なチャネルでした。

一方で、SEM広告はあくまで「検索しているユーザー」に対する広告です。

つまり、ユーザーが検索しなければ接点を作ることができません。

当時はブランド検索ボリュームが減少傾向にあり、既存の検索需要だけに依存した広告運用では、将来的な売上成長に限界が出る可能性がありました。

そのため、検索広告だけで売上を獲得するのではなく、ディスプレイ広告や動画広告を通じて、まだブランドを積極的に検索していないユーザーとの接点を増やすことが重要でした。

また、グローバルチームからはブランドキャンペーンや広告アセットが提供されていましたが、それらを日本市場の広告配信にどう活用するかも課題でした。

グローバルで制作されたアセットをただ受け取るだけではなく、日本のマーケットに合う形で広告施策に落とし込み、実際の配信と成果につなげる必要がありました。

課題:ブランド検索ボリューム減少と認知接点の不足

課題:ブランド検索ボリューム減少と認知接点の不足

このプロジェクトにおける主な課題は、広告運用が獲得施策に偏っていたことです。

SEM広告は売上への貢献が見えやすい一方で、広告予算がSEMに偏りすぎると、トップオブファネルの接点が不足します。

特に、ブランド検索ボリュームが減少している状況では、検索需要を作るための認知施策を強化しなければ、将来的に獲得効率が低下するリスクがあります。

また、ディスプレイ広告や動画広告は、SEM広告と比べて直接的な売上貢献が見えにくい傾向があります。

そのため、短期的なROASだけで判断すると、どうしても予算配分が獲得施策に偏りやすくなります。

一方で、オンシーズンのSEM広告には別の課題もありました。

需要が高い時期にはROASが非常に良好になることがありましたが、その状況で広告予算が不足すると、本来獲得できたはずの売上機会を逃してしまいます。

逆に、広告費を無計画に増やすと、需要が低い時期に無駄な広告費が発生するリスクもあります。

つまり、必要だったのは、単に広告費を増やすことではありません。

認知施策と獲得施策の役割を整理し、SEM広告では最低ROASラインを守りながら売上機会を最大化し、ディスプレイ広告・動画広告では将来的な需要創出につながる接点を増やすことでした。

戦略:SEM・ディスプレイ・動画を組み合わせたフルファネル広告へ

戦略:SEM・ディスプレイ・動画を組み合わせたフルファネル広告へ

戦略の軸は、広告運用をSEM中心の獲得施策から、SEM・ディスプレイ広告・動画広告を組み合わせたフルファネル型の広告戦略へ転換することでした。

広告予算の配分は、SEMを売上獲得のベース施策として約6割、ディスプレイ広告・動画広告などの認知施策を約4割としました。

SEM広告では、ROASが良好な場合に追加予算を投入し、最低ROASラインを維持しながら売上機会を取りにいく運用方針を採用しました。

単にROASを高く保つだけではなく、利益性を守りながら、獲得できる売上を最大化することを重視しました。

一方、認知領域では、グローバルチームから提供されたブランドアセットやキャンペーン素材を活用し、YouTube、Facebook、Instagram、TikTok、Googleディスプレイ、Yahooディスプレイなどで広告配信を強化しました。

これにより、購買意欲が高いユーザーへのアプローチだけでなく、まだブランドを検索していないユーザーへの接点も増やし、将来的な検索需要やEC流入の土台を作ることを目指しました。

実施内容①:SEM広告のROAS最適化

実施内容①:SEM広告のROAS最適化

まず、既存のSEM広告運用をレビューし、オンシーズン・オフシーズン別の売上、広告費、ROASの傾向を確認しました。

特に重視したのは、ROASが高すぎる状態が必ずしも最適ではないという点です。

ROASが非常に高い場合、一見すると効率の良い運用に見えます。しかし、需要が高い時期にROASが高すぎるということは、広告投資を増やせば、利益性を保ちながらさらに売上を伸ばせる可能性があります。

そこで、ファイナンス部門と連携し、最低限守るべきROASラインを確認しました。

そのうえで、ROASが良好な場合は追加予算を投入し、最低ROASラインを維持しながら売上機会を取りにいく運用へ改善しました。

広告ベンダーとは定期的に運用状況を確認し、予算消化、売上、ROASのバランスを見ながら調整を行いました。

これにより、オンシーズンにおける予算不足による機会損失を抑えつつ、広告費を使いすぎるリスクも管理できる体制を整えました。

実施内容②:ディスプレイ広告・動画広告による認知拡大

実施内容②:ディスプレイ広告・動画広告による認知拡大

次に、ディスプレイ広告と動画広告の活用を強化しました。

これまでの広告運用では、売上やROASのような獲得系KPIが中心でした。

しかし、ブランド検索ボリュームが減少傾向にあるなかでは、認知接点の拡大も重要なテーマでした。

そこで、広告全体のKPIとしてインプレッションを重視し、トップオブファネルの接点を増やす方針を明確にしました。

配信チャネルとしては、以下を活用しました。

  • YouTube
  • Facebook
  • Instagram
  • TikTok
  • Googleディスプレイ
  • Yahooディスプレイ

グローバルチームから提供された広告アセットやキャンペーン素材を日本市場で活用し、ブランドの世界観を保ちながら、国内ユーザーとの接点を増やす広告配信を推進しました。

この取り組みにより、SEM広告だけではリーチできないユーザー層への接点を拡大し、ブランド認知の底上げにつなげました。

また、社内のオフラインチームからも「YouTubeで広告を見た」「最近広告を見るようになった」といった反応があり、数字だけでなく、社内でもブランド露出の増加を実感できる状態になりました。

実施内容③:予算配分とファイナンス連携

実施内容③:予算配分とファイナンス連携

このプロジェクトでは、広告施策そのものだけでなく、予算配分と社内調整も重要な役割でした。

SEM広告には約6割の予算を配分し、売上獲得のベース施策として維持しました。

一方で、ディスプレイ広告・動画広告には約4割の予算を配分し、認知拡大のための投資を強化しました。

広告予算を獲得施策だけに集中させるのではなく、短期的な売上と中長期的なブランド接点の両方を意識した配分にしたことがポイントです。

また、SEM広告では、ROASが良好な場合に追加予算を投入するため、ファイナンス部門との連携が欠かせませんでした。

広告費、売上、ROASの状況を確認しながら、どの水準まで投資を拡大できるかを判断しました。

広告ベンダー、ファイナンス部門、グローバルチーム、社内関係者と連携しながら、広告配信、予算管理、レポーティングを横断して進行しました。

単に広告を出稿するだけでなく、事業会社側の立場から、売上機会、ブランド露出、予算リスクのバランスを見ながらプロジェクトをリードしました。

成果:インプレッション約2倍、セッション約20%増、SEM売上約30%増

成果:インプレッション約2倍、セッション約20%増、SEM売上約30%増

この取り組みにより、広告全体の接点拡大とSEM広告の売上改善の両方で成果を出すことができました。

年間広告全体のインプレッションは、前年比で約2億から約4億へ拡大しました。

ディスプレイ広告・動画広告を含む広告全体の露出を約2倍に増やし、トップオブファネルの接点を大きく広げることができました。

また、Webサイト全体のセッションは約20%増加しました。

認知施策を強化することで、検索広告だけでは接点を持ちにくいユーザーにもリーチし、ECサイトへの流入拡大につなげました。

SEM広告では、2021年11月・12月の売上が前年同月比で約30%増加しました。

これは、単に広告費を増やした結果ではなく、最低ROASラインを維持しながら、ROASが良好なタイミングで追加投資を行い、オンシーズンの売上機会を取りにいったことによる成果です。

このプロジェクトを通じて、広告運用を短期的なROAS最適化だけで見るのではなく、認知拡大、検索需要、EC流入、売上最大化をつなげて考える運用体制へ改善することができました。

自分の役割

このプロジェクトでは、事業会社側のプロジェクトリードとして、広告戦略の方針設計から、予算配分、KPI設計、ベンダー連携、社内調整、成果モニタリングまでを担当しました。

主な担当範囲は以下です。

  • SEM偏重だった広告運用を、フルファネル型の広告戦略へ転換
  • SEM、ディスプレイ広告、動画広告の予算配分方針を整理
  • SEM広告のROAS、売上、広告費のモニタリング
  • ファイナンス部門と連携し、最低ROASラインと追加投資判断を確認
  • 広告ベンダーと連携し、運用状況を定期的に確認
  • グローバルチームから提供された広告アセットの活用を推進
  • YouTube、Facebook、Instagram、TikTok、Googleディスプレイ、Yahooディスプレイでの配信を推進
  • インプレッション、セッション、売上、ROASをもとに成果を確認
  • 社内関係者へのレポーティングを実施
  • 広告費を使いすぎるリスクと、予算不足による機会損失の両方を管理

広告の実運用だけを見るのではなく、事業会社側のマーケターとして、売上目標、ブランド露出、予算管理、社内外のステークホルダー調整を横断して推進しました。

このプロジェクトで発揮したスキル

このプロジェクトで発揮したスキル

フルファネルマーケティング

SEM広告だけに依存するのではなく、ディスプレイ広告・動画広告を組み合わせることで、認知から獲得までをつなげる広告戦略を設計しました。

短期的な売上獲得と、中長期的なブランド接点の拡大を両立させることを意識しました。

デジタル広告戦略

YouTube、Facebook、Instagram、TikTok、Googleディスプレイ、Yahooディスプレイなど、複数の広告チャネルを活用し、目的に応じて広告施策を整理しました。

SEMは売上獲得、ディスプレイ・動画は認知拡大というように、各チャネルの役割を明確にしたうえで運用方針を設計しました。

ROAS最適化と予算管理

SEM広告では、ROASを高く維持するだけでなく、最低ROASラインを守りながら売上機会を最大化することを重視しました。

ファイナンス部門と連携し、広告費、売上、ROASのバランスを確認しながら、追加投資の判断基準を整備しました。

グローバルアセットのローカライズ活用

グローバルチームから提供された広告アセットを、日本市場での配信に活用しました。

グローバルブランドとしての一貫性を保ちながら、日本市場で実行可能な広告施策へ落とし込むことを意識しました。

ベンダー・ステークホルダーマネジメント

広告ベンダー、ファイナンス部門、グローバルチーム、社内関係者と連携しながら、広告施策を推進しました。

広告運用の細かな調整だけでなく、予算、成果、リスク、社内説明を含めたプロジェクト全体の管理を行いました。

学び・今後に活かせること

このプロジェクトを通じて、広告運用では短期的なROASだけでなく、認知拡大や将来的な需要創出も含めて設計することの重要性を学びました。

SEM広告は売上に直結しやすい一方で、検索需要そのものを増やすことはできません。

ブランド検索ボリュームが減少している状況では、検索広告だけを最適化しても、長期的な成長には限界があります。

だからこそ、ディスプレイ広告や動画広告を活用し、まだブランドを検索していないユーザーとの接点を増やすことが重要です。

また、ROASが高い状態を維持することだけが最適解ではないという学びもありました。

需要が高いタイミングでは、最低ROASラインを守りながら追加投資を行うことで、利益性を維持しつつ売上機会を最大化できます。

この経験は、今後のデジタルマーケティングにおいても、認知拡大、獲得効率、予算管理、社内外のステークホルダー調整を横断して考えるうえで活かせると考えています。

単なる広告運用ではなく、事業成長につながるマーケティング投資として広告を設計し、実行することの重要性を実感したプロジェクトでした。

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