近年Google検索において圧倒的な強さを誇っていたDeNAのキューレーションサイト群が、WELQ大炎上の問題を発端に非難にさらされているようですね。
キューレーション・メディアは私も本業の中で利用してお世話になっていたり競合したりもしていたのですが、今回の事件をきっかけにブログやTwitterなどで叩かれまくっている姿を見て「ついにこの日が来たか」という心情を持たざるを得ませんでした。
キューレーション・サイトは私自身思い入れも深く、彼らのSEO戦略にはよく感心させられていたので、今回の事件はショックと失望の気持ちでいっぱいです。

photo credit: BaileyRaeWeaver Sirry, times up via photopin (license)
というのも、私も小さいながらもブログを運営していて将来はメディアサイトの運営なども目指していることから、今回の一連の騒動から学ぶべきことは腐るほどありました。
いろいろなことを調べていくうちに分かってきたのですが、今回の事件は長年問題視されてきたネットメディアの闇が公になったに過ぎません。
今までどこに不満をぶつけてよいか分からない人達の恨みに対して、日本屈指の大手企業であるDeNAが受け皿となってしまったのです。
では、お見せしましょう。
今回の事件の騒動の概要から、ネット社会にはびこる闇とその歴史まで。
目次
現在のキューレーションサイトの集客方法について
DeNAのキューレーション・メディアの数々がこの短期間でここまでの規模にまで成長出来た理由は「大規模に最強のSEO対策を行った」に他なりません。
精度の良くなってきたGoogleの検索アルゴリズムの唯一の盲点であった「長文SEO+更新」のテクニックを駆使し、超格安で取引されているクラウドソーシングへ記事のリライトを外注することによって、ベストの効率でSEOにとんでもなく強いメディアサイトを短期間で作り上げてきた訳ですわ。
実際にはユーザー参加型ではない
各キューレーションサイトは「ユーザーがライター登録をして記事を投稿する」というコンセプトが掲げられていますが、これには巧妙な罠が仕掛けられています。私も一時は考えたことがありました。報酬も何も無いこれらのサイトで一体誰が手間隙を掛けて記事を投稿するのだろうな、と。
ある日クラウドソーシングでライターを探している時に、似たような大量のライター募集を見つけたことがありました。当時は「これもしかしてDeNAのサイトのやつじゃない?」と疑っていたのですが、今回の事件でそれが確信に変わりました。
からくりとは、「ユーザー参加型のキューレーションメディア」というコンセプトは実はカモフラージュで、実際にはDeNAが外部ライターを雇って投稿させているということ。
なぜこのようなことをしているのかと言うと、一つは編集者による投稿の手間を省くため。もう一つは、記事に問題があったときに責任逃れをするためです。
これらの内容はバレなければ問題無かったのですが、内部告発などによって世間に知れ渡ってしまったことによって非難の的となってしまいました。
リライトという名のパクリも問題に

photo credit: Go-tea 郭天 Here come the sun via photopin (license)
私自身、長文SEO+更新のテクニックや、会員登録制にして外部ライターに記事を書いてもらうことは問題無いと思うのですが、一つだけ「これはNGだろう」と思うことがありました。
それは、他社の記事を参考にして外部ライターにリライトさせる行為です。
リライトにしても、他の記事を参考にする際に自分なりのコンセプトを持った上で元記事を上回るくらいクオリティを上げることが出来ていれば良かったのですが、彼らの手法は機械的にある程度の記事を量産するようなマニュアルだったので、読んでいてもおもしろくないような記事を量産していたことは罪と言えるでしょう。
このあたりはモラルの低い私の中でもアウトと言える内容でした。
一昔前に炎上したぱくりバイラルメディアが関与
これらの運営のノウハウ構築には、一昔前に炎上したWebTechAsiaという会社の人材が関与しているようです。
彼らは一昔前にBuzz Newsという人気のバイラルメディアを運営していたのですが、コンテンツ盗用を問題視したライターのよっぴーさんが書いた記事によって炎上して滅ぼされた悪の集団みたいな人達です。
>>よっぴーさんの記事:
悪質バイラルメディアにはどう対処すべき? BUZZNEWSをフルボッコにしてみた
DeNAは悪の集団WebTechAsiaのノウハウを吸収することによって成果を上げ、身を滅ぼしたという訳ですね。
法人運営のリスク
上記の内容は、従来よりアフィリエイターの間では当たり前のように使われていたテクニックでした。
ここまで問題が大きくなった原因は、DeNAのような知名度のある会社が大規模に事業として行ってきたためだと思われます。
通常個人のアフィリエイター達は身元を公開しないため、記事に問題などがあっても批判の受け皿がありません。
一応問い合わせフォームなどで修正する姿勢は見せていると思いますが、何かの危機が迫ればサイトを閉鎖してドロンすることも可能です。規模も小さいだろうし。
ところがDeNAは堂々と法人運営しているため、これまでパクリサイトを嫌っていたクリエイター達の怒りを全て受け止める羽目になりました。そしてサイトの規模も大きい分被害も大きかった。
キューレーションサイトを嫌っていた人達は、画像や記事をパクられた人や、検索上位を奪われたアフィリエイター、マーケッターなどでしょうか。
検索に強くなりすぎて妬まれたのもある
今回の事件で思い出したのが、一昔前に検索上位を席巻したNaverまとめですね。
彼らも3〜4年前にGoogleの検索アルゴリズムを上手く利用してSEOに強いページを作りまくっていたのですが、結果的に「検索結果の邪魔」という声が出始めたためにGoogleから順位を下げられることになりました。
ただしNaverまとめは固定のファンが多くついたことにより、Google検索に頼らない独自のメディアとしての地位を確立し、現在も人気サイトとしてバカ高い広告料金を稼げるメディアへと成長しています。
DeNAの各キューレーションサイトはおそらくここの地位を目指していたのではないかな、と思います。
あれだけ派手に強引なSEOをやれば長く続かないであろうことは誰でも予想がつくだろうし、オフラインでのマーケティングも模索していたようなので。。
DeNAのいくつかのサイトは私もよく活用させていただいていたので、ここ数年で順調にファンを増やせていたのではないかなと思います。
そんな矢先に起こったのが「WELQ」の問題。
モラルを欠いたWELQ
今回の一連の騒動の引き金となったWELQですが、内容を調べてみるとその理由は容易に納得できました。
例えば以下の記事をご覧ください。
→ [死 にたい]でSEOされたwelq(運営:DeNA)の大きな問題
上記でも述べたように、個人のアフィリエイトで同じようなことやっている人は沢山いるけれども、企業でやったらNGだろうな〜というような内容ですね。
WELQはこういった人の生死が関わるようなトピックをマネタイズするだけでなく、信憑性の低い医療情報も数多く公開していたようです。
こういった「嘘のニュース」の危険性については現在アメリカでも問題になっています。
嘘の情報が氾濫している現在のインターネット社会
というのも、先日の大統領選挙でも「嘘の情報」がSNSなどで拡散したことによって選挙結果に影響が出たと言われています。
→ 大統領選にも影響!? 嘘ニュースの脅威、米国で社会問題化 人はなぜ拡散に加担するのか?
残念ながら現在のGoogleの力では情報の信憑性を測ることは難しいため、SEOのメカニズムを知った人やソーシャルメディアで影響力のある人によって情報操作がされることが可能な社会になっています。
逆に言うとそれが可能であるからこそアフィリエイトという産業が存在しているのですが。
ただし、ここ最近話題になっているところを見るとGoogleもこれを見極めるアルゴリズムに急務として取り掛かるのではないかと思われます。
現実的に考えると出来るとは思えませんがね。。
今回のDeNA騒動がメディア業界に与える影響
今後のDeNAの方向性としては、各メディアの記事を精査して問題の無いものは再公開するといったところ。
おそらくトラフィックが大きかったりコンバージョンが出るページのみ再公開するのではないかなと思います。
記事の制作手順も変わるでしょう。
どこまで変わるかは分かりませんが、リライトの手法は確実に使わなくなるのではないでしょうか。
そうなってくると、予想できる流れとしては「リライトしないでオリジナルの記事を外注に任せる → 質の低下、または制作コストの増加 → 今までのような勢いはなくなる」という感じで、今までのような成長は陰をひそめることになると思われます。
これはおそらく他のキューレーションサイトも同じことが言えるでしょうね。
勢力を盛り返すのは完全ホワイトのメディアと、身元を公開しない個人アフィリエイター
これだけ存在感を放っていたキューレーションメディアが堕ちるということは、他のメディアにとっては大きなチャンスが到来しているということです。
恩恵を受けるのは、まず今までクソまじめにモラルを守ってきた完全ホワイトのメディアサイト。
もちろんSEOが出来ているサイトに限ります。
次に、今までのキューレーションサイトと同じ手法を使っている、運営元を公開していない個人アフィリエイター達。
今までひっそりと商売の邪魔をされてきたのが元に戻るという感じです。
ただし彼らはGoogleの次のアルゴリズム変更などで近いうちに打撃を受ける可能性もあるかもしれません。
以上です!長々とご精読ありがとうございました!