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UXリサーチとは?プロセス、効果、実例を紹介

UXリサーチのプロセス

こんにちは、世界のヘイショーです。

僕は現在外資系企業のECサイトでUXを担当しているのですが、僕が行っているUXリサーチの内容やプロセスについて解説させていただきます。

ふきげん猫ちび

Webサイトを作っているんだけど、チームの皆が「こうすれば良い」という提案を好き放題言ってきて困っている。
Webサイトをどんどん改善していきたいんだけど、どうい手順で行えばよいの?

ふきげん猫ちび

ふきげん猫ちび

Webサイトの改善案についてよくチームの人と議論する場面があるんだけど、自分の言っていることが絶対に正しいのに誰も認めてくれない。

UXリサーチを行うと、このような問題を解決することが可能です。

今回の記事では以下の内容について説明していきます。

  • UXリサーチとは?
  • UXリサーチのプロセス(ペルソナ/カスタマージャーニーの設定、ユーザーインタビュー、データ分析、競合分析、ABテスト)
  • 実例

ちなみに僕は世界で5000人くらいいる有名な外資系企業の UX担当として働いていて、アメリカの凄腕のUXリサーチャーにいろいろと学ばせていただいてます。

僕が学んだノウハウを共有しますので、参考にしていただけると幸いです。

UXリサーチとは?

UXリサーチとは?

一言で言うと、ユーザーのニーズを把握するために行う調査のことです。

Neil Patel氏の話によると、「今の競争社会で長く生き残ることが出来るのはユーザーの要望に応え続けている企業だけだ。マクドナルド、アマゾン、スターバックスが良い例だ。それぞれ課題はあるけど、ユーザーの声は聞き続けている」と言っていました。

つまり、多くのグローバル企業が長期に渡ってビジネスをグロースさせている秘訣ということです。

「思いつき」の発想をやめるための手段

会社で仕事をしていると、よく「こうするべきだ」と思いつきで提案してくる人がいます。

このような意見は仮説として受け取ることは問題ないですが、言われるがままに変更するようなプロセスをとっている会社は危険です。

僕は誰かに何かを提案する時に、いつもこの言葉を自分自身に投げかけています。

ヘイショー

Isn’t it just your opinion?(それは自分がそう思ってるだけじゃないの?)

ビジネスオーナーでない限り、思いつきの提案をすることは周囲を苦しめることになるので注意した方がよいです。

最高のWebサイトの定義

かつてWeb制作の仕事をしていた頃の僕は「最高のWebサイトを作りたい」という願望を常に持っていました。

しかし、いつも上司や同僚から「こうしろ」と言われて変更を加えることによってクオリティが下がる状況に失望感を抱いていました。

ヘイショー

ただしこの時の僕は間違っていました。今でこそ断言できます。

当時の僕の「最高のWebサイト」の定義が「自分にとって最高のWebサイト」だったからです。

正解は「ユーザー、またはクライアントにとって最高のWebサイト」であるべきでした。

この時僕が行うべきだった行動は、提案された内容についてUXリサーチを行うことだったのです。

ヘイショー

という苦い経験を告白してみました。

UXリサーチのプロセス

UXリサーチのプロセス

一般的なUX改善の内容は以下の通り。

  1. ペルソナ、カスタマージャーニーの設定
  2. ユーザーインタビュー
  3. データ分析
  4. 競合分析
  5. UX提案
  6. プロトタイプ作成
  7. 検証(ユーザーバリデーションまたはA/Bテストの実施)
  8. 結果をモニタリング

一つ一つの工程についてさくっと説明していきます。

あと分かりやすくなるように実例もつけます。

実例:

「モバイルでハンバーガー内にあるログイン・ボタンを見つけられない人が多いのではないか」という仮説に対して検証します。

1. ペルソナ、カスタマージャーニーの設定

ターゲットユーザーと、その人の購入経路を定義します。

これがないとデザインやマーケティングのアイデアが統一できないので、意見がまとまらない事態が起こります。

例えばデザインを行うにしても20代女性をターゲットにするのか50代男性をターゲットにするのかで全然変わってきますよね。

つまり、これがないと何が正解で何が不正解がが分からなくなります。

実例:

今回のペルソナは「20代、30代の会員」という広い範囲でセグメントします。

カスタマージャーニーは、「トップページを訪問した後にログインし、登録内容を確認する」というパターンで想定します。

2. ユーザーインタビューの実施

ペルソナに近い人を5人以上集めて、インタビューします。

ペルソナに近い人から意見を聞かないと意味が無いです。

よくある間違いが、BtoBビジネスなのに一般の人に意見を聞いている場合。

BtoBビジネスはペルソナをかなり具体的に設定している場合が多いので、一般人がビジュアルを見て直感的に判断した意見を参考にするのはあまり意味がないです。

参考記事 ユーザー(ユーサビリティ)テストとは?目的、やり方、方法、効果、成功例など

実例:

「ログインボタンがハンバーガーメニュー内にあるので見つけにくい」という仮説に対して、それを確認するためにユーザー10人に以下の二つの質問を聞きました。

  • 今までログインボタンを見つけられなくて困ったことはありましたか?
  • ログインボタンが見つけられなかった時に、どのような行動を取りましたか?(離脱したかどうかを確認するため)

結果は、8人中6人が「見つけられなくて困ったことがある」、6人中6人が「ページを遷移していく内にログイン出来た(製品詳細ページで購入ボタンをクリックするとログイン画面が表示されるため)」と答えています。

3. データ解析

Googleアナリティクスやヒートマップなどを利用して、データから判断できる内容を抽出します。

実例:

ヒートマップにレコーディングの機能があるので、トップページのファーストビューで迷っているような行動を記録をいくつかピックアップしました。

4. 競合分析

競合サイトのデザインを参考にします。

ブランディングを重視しているサイト(ファッション系など)と使い勝手を重視しているサイト(アマゾンなど)がありますが、使い勝手を重視しているサイトを参考にした方がよいです。

ECサイトであればアマゾンのUXがとても参考になります。

実例:

競合分析の結果、アマゾン、楽天などの総合ECサイトはログインのリンクがハンバーガーの外に出ているようです。

逆にファッション系はハンバーガーの中に入っているようです。

競合分析のサンプル

5. UX提案

UXリサーチはここまでです。

1~4の結果を考慮した上で、改善案を作成します。

実例:

今回は以下の2パターンを提案することにしました。

  • 案1:ログインのリンクをハンバーガーメニューの外に出す
    • メリット:ユーザーが迷いなくログインリンクを見つけることが出来る
    • デメリット:ヘッダーにリンクが増えることによって、シンプルなデザインが損なわれる。
  • 案2: ハンバーガーメニューをメニューだと認識させるために、アイコンの下に「メニュー」という文言を入れる
    • メリット: ハンバーアイコンのクリック率が上がることによって、ログインリンクが発見されやすくなる
    • デメリット: 見栄えがスタイリッシュでなくなる

ヘイショー

スピード感を重視したい場合はどちらか一つの案を提出すればOKです。

アメリカのスタートアップなどはこのスタイルで、自信をもって「これで行け」みたいな態度でドキュメントを提出すると好感度が上がります。

逆にアメリカの大手企業、または日本の会社の場合は2パターン提出して、後述のユーザーバリデーションまたはA/Bテストを行うことが好まれます。

6. プロトタイプ作成

Adobe XDやPrott、InVisionというツールを用います。

Photoshopと違ってクリックで遷移できるので、実際の使用感により近い感じでテストすることが可能です。

7. ユーザーバリデーション

5のUX提案で作成した案を持って、ユーザーにインタビューして反応を確認します。

この工程をサボると、改善した後にまた失敗する可能性が出てきますので。

内容によってはA/Bテストにて反応を確認することも可能です。

実例:

ユーザーからのフィードバックによると、「ログイン画面へは1クリックで遷移したい」という声が多かったので案1を採用することにしました。

8. 実装

気の遠くなるような作業ですが、大手のWebサイトはこのような手順を通します。

ヘイショー

誰かが「こうすればいい」と言っていきなり変更する訳ではないです。

まとめ

UXリサーチ

今回はWebサイト改善にUXリサーチを適用する例をお見せしましたが、UXリサーチの工程はいろいろな場面で応用できます。

例えばあなたが「彼女が欲しい」と思っているとすると、ペルソナ、カスタマージャーニー設定→ユーザーインタビュー、データ解析、競合解析を行うことによって彼女がGETできる確率が格段に上がると思います。

つまりUXリサーチを活用すれば、欲しいものを手に入れる可能性を最大化することが出来るという訳です。

ぜひ試してみてください!

ヘイショーからは以上です。

ご精読ありがとうございました。