トラフィック減少が止まらない?AI時代のマーケティングKPI設計
- Webサイトのトラフィックが以前より獲得しにくくなっているのはなんで?
- トラフィックは下がっているのに、売上が下がっていないのはなんで?
- AIやゼロクリック検索の影響で、見えないアトリビューションが増えている?
- Webサイト外でブランド接触が起きている時代に、KPIをどう設定すればいいの?
最近Webサイトの運用をしていて、こうした疑問を感じる場面が増えています。
SEOやSNS、広告などの施策を続けていても、Webサイトへの訪問数として成果が見えにくくなっている。一方で、トラフィックは下がっているのに、売上はそこまで落ちていない。このような違和感を持っている人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、これは一時的な変化ではなく、AIの普及やプラットフォームの仕様変更による構造的な変化だと考えています。そのため、マーケティング活動の評価も、従来の「トラフィック中心」から大きく見直すタイミングに来ています。
この記事では、このような疑問に対して、Webサイト運用とデータ分析の視点から僕の考えを書いていきます。
Webトラフィックが減少しやすくなっている背景
従来のデジタルマーケティングは、広告やSEO、SNSなどの各チャネルからWebサイトへ誘導し、サイト内で情報収集や購入をしてもらうのが一般的でした。
しかし現在は、ユーザーの情報収集行動そのものが大きく変わってきています。
たとえば商品やサービスを比較する際、複数のWebサイトを巡回するのではなく、AIに質問して情報収集を済ませる行動が増えています。
つまり、最後の購入や申し込みの段階でだけ、公式サイトを訪れるような流れですね。
この流れが進むと、ユーザーの検討プロセスにブランドが関わっていても、それがWebサイトのセッション数として記録されない場面が増えていきます。
プラットフォーム側も外部遷移を減らしている
実はAIが普及する前から、各プラットフォームはユーザーを自社サービス内に留めようとしてきました。
検索エンジンでは、検索結果画面に直接回答が表示されるゼロクリック検索が広がっています。
SNSでも、外部リンク付きの投稿より、プラットフォーム内で完結する投稿のほうが表示されやすい傾向があります。
広告においても、動画や認知目的の配信が増え、広告接触が必ずしもWeb訪問に直結しなくなっています。
つまり、マーケティング活動の成果が「Webサイトのトラフィック」にそのまま反映される時代ではなくなってきていると感じています。
トラフィックだけをKPIにするリスク
以前は、Webサイトのトラフィックを増やすことが、売上拡大に直結しやすい時代でした。
そのため、セッション数やユーザー数、クリック数などが主要なKPIとして扱われてきました。
しかし現在は、「トラフィックは減っているのに、売上は下がっていない」という現象も起こり得ます。
この状況でトラフィックだけを見ていると、マーケティングが機能しているのに成果が悪化しているように見えてしまいます。
特に前年比較だけでパフォーマンスを判断すると、市場の構造変化なのか、自社施策の良し悪しなのかを切り分けるのが非常に難しくなります。
マーケティングの本質を再定義する
このような環境では、マーケティング活動の本質を改めて整理する必要があります。
個人的に、マーケティングとは単にWebサイトへ多くの人を連れてくることではないと思っています。
ユーザーが商品を知り、比較・検討し、購入するまでの「カスタマージャーニー」の中で、適切な場所にブランドが存在し、正しい情報を届けることです。
そう考えると、見るべき指標も「どれだけクリックされたか」だけでは不十分です。
各タッチポイントでブランドがしっかり表示されているか、競合と比較してポジションを取れているかを確認する必要があります。
新しいKPI候補:ポジションとインプレッション
クリックはユーザーの意思に大きく依存します。
一方で、インプレッションや表示順位、インプレッションシェアは、僕たちマーケターが改善しやすい指標です。
AI時代のKPI設計では、次のような露出指標の重要性が高まります。
チャネル別に確認したいKPI
- SEO: 検索順位、インプレッション数、検索結果での表示状況
- 広告: インプレッション数、インプレッションシェア、表示単価
- SNS: インプレッション数、リーチ数、エンゲージメント率
- AI検索・生成AI: ブランド言及、引用状況、回答内でのポジション
これらの指標は、Webへの流入数だけでは見えない「市場内での存在感」を測るためにすごく役立ちます。
売上貢献を見るにはMMMが重要になる
ただし、インプレッションやポジションだけでは、ビジネス側に売上貢献度を説明しきれないケースもあります。
そこで有力なアプローチになるのが、MMM(マーケティングミックスモデリング)です。
MMMは、広告費やSEO施策、SNS活動などの複数データを使って、売上との関係性を統計的に分析する方法です。
従来のアトリビューション分析と違い、MMMはより大きな単位でマーケティング全体の売上貢献を推定します。
プライバシー規制やCookie制限が進む中でも活用しやすく、Web訪問だけでは測れない活動の価値を把握しやすいのが大きな強みだと思います。
個人的な見解:AI時代の施策管理
正直なところ、結果が見えにくくなった分、何を実行すべきか迷うことも増えたと思います。
MMMなどで売上に影響しやすい活動が特定できれば、その「アクション数」をKPIとして管理するのも一つの手です。
たとえば、以下のような活動ですね。
- Webページの更新や商品情報の改善
- 広告クリエイティブの継続的な追加
- AI検索で引用されやすいコンテンツの整備
重要なのは単に作業量を増やすことではなく、売上やブランド接触に影響する活動を特定し、継続できているかを見ることだと感じています。
前年比較から予測ベースラインへ
トラフィックが構造的に減少する市場では、前年比較だけでは評価が難しくなります。
昨年と同じ条件が続いている前提で数字を見ると、外部環境の変化を見落としてしまいます。
今後は、機械学習などを使って「何もしなかったらどこまで下がる想定だったか」という予測ベースラインを作ることが重要になります。
たとえば、前年同月比ではマイナスでも、予測ベースラインより上振れているなら、施策はしっかり成果を出している可能性があります。
既存のアトリビューション分析は不要になるのか
新しいKPI設計が必要だからといって、既存のアトリビューション分析が不要になるわけではありません。
GA4や広告管理画面のコンバージョンデータは、引き続き重要な判断材料です。
ただ、それだけに依存せず、露出指標、MMM、予測ベースラインなどを組み合わせてみる必要があります。
単一の指標で判断するのではなく、複数の視点から成果を立体的に評価することが大切です。
まとめ
AI時代のマーケティングでは、Webトラフィックやクリック数だけを追うのは限界に来ています。
ユーザーがAIやプラットフォーム内で情報収集を完結させるほど、ブランドとの接点はWebサイトの外に広がっていきます。
そのため、今後は以下のような指標を組み合わせて、活動の価値を正しく把握していく必要があります。
- インプレッションやポジション(露出指標)
- MMM(マーケティングミックスモデリング)
- 予測ベースライン
これからの僕たちマーケターやデータアナリストには、変化したユーザー行動に合わせてKPIをアップデートしていく力が求められていると思います。
今後、データ分析やマーケティングKPIの捉え方、確認方法はものすごく複雑化して、かなりハイレベルなスキルが要求されていくはずです。
ただ、今はAIのサポートを受けられますし、機械学習やデータ分析もAIを活用することで比較的簡単に実装できるようになっています。
こうしたテクノロジーをうまく活用しながら、今後劇的に変わっていくデータ分析の環境にも対応していきたいですね。