AIマーケティングとは?事例と経験談を紹介

更新日: by Heysho

AIマーケティングとは?

今日は久しぶりにデジタルマーケティングの話について書きたいと思います。(今回はAIで書いた記事ではありません。)

  • AIマーケティングって何?実際に何ができるの?
  • 導入効果は?
  • どのツールを選べばいい?

このような疑問を持つ方に向けて、最近注目の「AIマーケティング」についてお話しします。

僕は2022年12月からお仕事のいろいろな場面でAIを活用しているのですが、会社員としての戦闘力が圧倒的に上がったことを実感しています。

例えるならば、今までは次々に登場する難題を一人で試行錯誤しながらチャレンジしていたのですが、今は優秀で爆速のコンサルタント、プログラマー、データサイエンティストと一緒に働いている感じです。

この記事では、私の経験談から事例の紹介や、おすすめの使い方、ツールなどを紹介します。

目次

1. AIマーケティングとは?

AIマーケティングは比較的新しい概念ですが、私は「生成AIを活用してマーケティング活動の効率化と高度化を実現する手法」と定義しています。

具体的には、コンテンツ制作、業務自動化、データ分析などの領域で活用できます。

主な活用例

  • マーケットリサーチ:AIの膨大な情報処理能力を活用し、競合分析や消費者トレンド調査を短時間で実施
  • コンテンツ制作の効率化:記事やSNS投稿、広告コピーなどの下書き作成や、品質向上のための校正作業をAIがサポート
  • ユーザーインサイトの抽出:数千件に及ぶカスタマーレビューや問い合わせデータをAIが分析し、有益なパターンや感情傾向を見出す

2. AIマーケティングが注目されている理由

Horizon Grand View Researchの調査によれば、世界のAIマーケティング市場は驚異的な成長を遂げる見込みです。

日本でのAIマーケティング市場のデータはなかったのですが、AI市場の予測は以下の通りです。

この急速な市場拡大に伴い、AI人材の深刻な不足が予想されています。

先行投資の重要性

現在、マーケティング業界ではAI活用はまだ黎明期にあると言えます。

今からAIマーケティングに投資することで、競合に対する大きなアドバンテージを築くことが出来そうです。

市場が成熟し、人材獲得競争が激化する前に自社のAIマーケティング基盤を構築することが、各企業の将来の成功への鍵となると思います。

3. 導入事例(経験談)

僕が実際に業務で活用したAIマーケティングの事例を紹介します。

顧客アンケート分析

  • 課題 … 膨大な自由記述データの処理。
    • 約7,000件の顧客アンケートを分析するプロジェクトを担当した時のことです。
    • すべての回答が自由記述形式だったため、従来の方法では分類・集計作業に推定200時間以上の工数が必要でした。
  • ソリューション … テキスト分析によるカテゴリ分類を自動で行って集計することで、課題毎の優先順位を決めることが出来ました。
    • 処理時間は概算200時間から10時間程度に短縮、コストは人件費数十万円からAPI利用料1万円程度に抑えられました。
    • 使用技術: Python + ChatGPT API (GPT-3.5-turbo)
    • 2023年当時は約1万円のAPI費用がかかりましたが、AIモデルの進化により現在では同様の分析が100円以下で実現可能です。
  • 備考 … 初めてAIを活用した自動化プロジェクトだったのですが、その効果の大きさに衝撃を受けた体験は今でも鮮明に記憶しています。

SEOのキーワードデータを分類

  • 課題 … SEO戦略では、ブランド名を含む「指名系キーワード」と含まない「一般系キーワード」を分けて分析するのが一般的です。しかし、従来は手作業での分類が必要で、作業負担が大きく非効率でした。
  • ソリューション … PythonとGPT-4.1-miniを用いた自動分類スクリプトを活用しました。約1万語のキーワード分類にかかるコストは10円未満、所要時間はわずか20分ほどです。従来のマニュアル作業と比較して大幅な効率化を実現しています。
  • 備考
    • 生成AIはテキストデータ分析において非常にパワフルで、効率性と正確性を飛躍的に向上させることが出来ます。
    • 上記はSEOデータ分析における生成AI活用の基本的な例ですが、その他にも製品別、トピック別など、様々なカテゴリやタグによる分類・分析にも応用が出来ます。

ディープリサーチでマーケットリサーチの考察をKPIレポートに添付

  • 課題
    • ブランドサイトを運営していると、SEO のパフォーマンスが指名系検索の増減に大きく影響されることがあります。
    • レポート発表時には「なぜ指名系キーワードの検索ボリュームが増減したのか?」とよく質問を受けますが、複数の要因が絡むため原因の特定が難しいのが実情です。
  • ソリューション … ChatGPT のディープリサーチ機能を使い、「〇〇ブランドの△月に検索ボリュームが大幅に増加した理由を調査してください」というプロンプトで調査を行っています。
  • 結果
    • アウトプットは非常に詳細で、ブランドが実施した施策、インフルエンサーの反応タイミング、競合他社の動きなど、増減に寄与した要因を整理して教えてくれます。
    • この考察をKPIレポートに添付することで、チームは「どのようなアクションが指名系キーワードの検索ボリューム増加に貢献するか」を具体的に把握でき、SEO パフォーマンス改善に役立てています。

コンテンツ制作に活用

  • 課題
    • ECサイトのカテゴリーページ2000ページのオンページSEOを行うプロジェクトを担当した時のことです。
    • メタディスクリプション改善とリード文の追加が非常に手間のかかる作業だったのでSEOベンダーに見積依頼を行ったところ、1ページあたり5万円という見積もりで、1000ページ実施すると5,000万円かかるため実行は困難でした。
  • ソリューション
    • Python、LangChain、生成AIのAPIモデルを組み合わせて自動化を構築し、1ページあたりの制作コストを1円以下に抑えました。
    • 結果として一般系キーワード経由の検索流入が昨年比で80%増加しました。
  • 備考
    • 運用ではリスク回避のために以下のような試行錯誤を行っています。
      • 複数のAIモデルや複雑なプロンプトを組み合わせる
      • 50ページずつ区切って段階的に更新する
    • 大量のページを一度にシンプルなモデルやプロンプトで大量更新するとリスクがあるので、ご注意ください。

データ分析・データサイエンス活用のプログラミング

  • 課題
    • Python とデータサイエンスを 2023年に学び始めたのですが、実務に活用するにあたって当初はPythonのコーディングスキルに自信がなく、また時間も多くかかっていました。
    • 過去にもデータサイエンス系のプロジェクトはビジネスケース(費用対効果の裏付け)を明確に示しにくく、リソースの追加や予算獲得が難しい場合が多々ありました。
  • ソリューション
    • 現在はChatGPT のサポートを活用することで、高度なデータ分析を自力で早く行えるようになりました。
    • 過去に取り組んだ主なプロジェクトは以下の通りです。
      • 機械学習を用いた SEO トラフィック予測
      • 広告が SEO トラフィックに与える影響の調査
      • KPI レポートの自動作成
      • その他 Python を活用した各種データ分析
  • 感想
    • データサイエンス歴が浅い私でもここまで成果を出せたため、今後はマーケター自身がデータサイエンスを駆使するケースが増えると予測しています。
    • マーケターが AI を活用してデータ分析を実践することで、社内で「データドリブンなチーム」を構築する後押しができると思いました。

AIツール作成で運用支援および集客

会社ではなく個人のプロジェクトとして、業務効率化に役立つAIツールを開発・運用しています。

たとえば「Eメール返信ツール」は、相手のコメントをコピー&ペーストし、「ふんわりとした返信内容」をキーワードとして入力するだけで、丁寧かつプロフェッショナルな返信文を自動生成します。ChatGPTのUIでも同様の機能は利用できますが、このツールは動作が高速で、絶妙なトーンでテキストを作成できるため、私はこちらを愛用しています。

さらに、このツールを一般公開することでGoogle検索からの集客も実現しています。

別の「ラップ生成ツール」を公開したところ、「ラップ生成」などのキーワードで上位表示され、月間約2,000セッションの集客につながりました。

4. おすすめツール

AI 関連ツールは非常に多いため、あれこれ試しすぎず、まずは「ChatGPT Plus の有料プラン」と「各AI モデルの API x PythonまたはDify による自動化」を押さえておくことをおすすめします。

詳しく知りたい場合はAI系インフルエンサーの情報を参照すると良いですが、有料ツールを多用してもスキル向上に必ずしも直結せず、時間とコストの浪費につながる点にはご注意ください。

以下は私が利用している最低限のAIツールのリストになります。

ChatGPT Plus(月20ドルの有料プラン)

ChatGPT Plus は多彩な機能を備えており、日常的な業務の約7割がこのプランだけでカバー可能です。

私は他の大手モデル(Gemini、Claude)も試しましたが、総合的な性能と安定感から ChatGPT Plus を選んでいます。

主な用途とおすすめモデルは以下の通りです。

  • コーディング支援:o3 または o4-mini
  • ビジネス相談:o3
  • Web 検索:o3/o4-mini (higher)
  • 日記/ミーティングログ:音声モード
  • 文章校正・翻訳:o4-mini (higher)
  • マーケットリサーチ:ディープリサーチ機能

Claude

ChatGPT Plus だけでも十分ですが、Webページ公開用の文章品質をさらに高めたい場合は Claudeを併用しています。

  • モデル:無料プランで利用できる Claude-3.7 Sonnet
  • 主な用途
    • 自然な日本語ライティングが要求される場面(Webページに利用するテキストなど)
    • ビジネス画像生成(インフォグラフィックな画像が生成可能で、SVG形式なので編集も可能です)

Claudeのモデルは「日本語の表現を自然に仕上げる、読みやすさを向上させる」ことができる点が評価できます。これにより、最終的なコンテンツの仕上がりがワンランク上がります。

Python / LangChain

LangChainはPythonのライブラリで、さまざまな AI を組み合わせて自動化ワークフローを構築できるプラットフォームのようなものです。

たとえば、1 万件の文章翻訳やレビュー分類など単純作業の大量処理を自動化するときに活躍します。API モデルには Gemini-flash-2.0 や GPT-4.1-mini など、コスト効率の高いモデルを基本的に利用しています。

Python / LangGraph

LangGraphはLangChainの上位版とも言える仕組みで、複数のプロンプトを並列・分岐させた複雑なワークフローを構築できます。

たとえば、要件定義書作成の自動化では、

  1. 架空のペルソナを 5 名生成
  2. ペルソナへのインタビューを実行
  3. 情報が十分かどうかを精査
  4. 問題なければ内容をまとめて要件定義書を生成

といった一連の工程を1クリックで回すことが可能です。複雑なタスクを安定的かつ高品質に仕上げたいときに最適です。

Dify

私は主にPython経由でAPIを直接呼ぶため使用機会は少ないですが、DifyはプログラミングなしでいろいろなAIモデルやワークフローを試したい方には非常に便利なツールです。

個人的にはClaudeのハイエンドモデルを利用する場合によくDifyを使用します。

Napkin AI

Napkin AIは、無料でインフォグラフィックをサクッと作成できるツールです。レポートやプレゼン資料にすぐ貼れる図版を手軽に用意できます。

Perplexity、Genspark、Felo

PerplexityGensparkFeloはWeb検索ができるツールになりますが、私はディープリサーチ用途で補完的に使用します。

普段は ChatGPT を使いますが、回数制限に達した際の代替としてこの3つのツールを活用しています。

5. 情報収集

私が AI マーケティング関連の情報収集に活用している主なチャンネルは以下のとおりです。

  • イケトモさん(YouTube) … 毎週AIの最新情報をまとめてくれています。
  • 中嶋聡さん(メルマガVoicy) … プログラマー視点の深掘り解説が特徴です。Voicy は現在更新を停止していますが、過去のエピソードは AI や LLM の仕組み理解に役立ちます。
  • Sam Altmanのインタビュー(YouTube) … AI の未来予測を行う際の信頼性の高い一次情報源として視聴しています。
  • LangChain公式チャンネル … 業務自動化向けのサンプルコードや実践的な活用事例を紹介してくれます。LangChainはAPI 利用料のみで気軽に試せるのが魅力です。

そのほか、LinkedIn で海外プロフェッショナルの投稿も定期的にチェックしています。

6. まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

私もまだまだ勉強中ですが、AI を活用してビジネスをアップデートしたい方とつながれれば嬉しいです。

もし現在 AI 関連のプロジェクトに取り組んでいる方や、一緒に面白いチャレンジをしてみたい方がいらっしゃれば、ぜひお気軽にご連絡ください。