ブランドECサイトのSEO対策で重要な3つの目標設定と各施策

更新日: by Heysho

ブランドECサイトのSEO担当者として、「オーガニックトラフィックを効率的に増やすにはどうすればよいか」

「SEO対策を実施しているのに成果が出ない」

「企業サイトのSEO対策で重視すべきKPIは何か」といった課題に直面している方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ECサイトのSEO対策において設定すべき3つの重要目標(KPI)と、それぞれに対する具体的な施策について解説します。

結論として、以下の3点が重要となります。

  1. 指名検索(ブランド名単体)の検索ボリュームとクリック率の向上
  2. 指名検索・ロングテールキーワードの検索順位とクリック率の最適化
  3. コンテンツマーケティングによる一般キーワードからの流入増加

個人ブロガーなどはSEO対策というと3番目のコンテンツマーケティングを想起する方が多いかもしれませんが、ブランドサイトにとっては1と2の施策が優先度が高いといえます。それぞれの目標について詳細に解説していきます。

ゴール1:指名検索(ブランド名単体)の検索ボリュームを増やす

指名検索の検索ボリューム(ブランド名で検索される回数)が増加すると、以下のメリットが得られます。

  • オーガニックトラフィックの増加
  • ドメインオーソリティの向上によるSEO強化
  • 検索ボリュームが上昇しているブランドは全体的なマーケティング効果も高く、売上向上につながりやすい

指名検索を増やすということは、消費者の意識の中にブランドを確立させることを意味します。これは「脳内SEO」とも呼ばれる重要な概念です。

指名検索(ブランド名単体)の検索ボリュームを増やす方法

効率的に知名度を向上させるためには、ターゲットオーディエンスとのブランド接点を戦略的に増やすことが効果的です。

  • SNSやYouTubeでのフォロワー獲得とコンテンツ露出の最大化
  • ディスプレイ広告、SNS広告によるインプレッション獲得
  • ブログなどのコンテンツマーケティングを通じた一般キーワードでの上位表示と集客
  • 外部メディアやインフルエンサーとの連携によるブランド認知度向上

マーケティングの基本原則に「ルール・オブ・セブン」があります。これは「消費者は同一のメッセージに7回接触することで、初めてそのブランドを認識し始める」という考え方です。ターゲットユーザーが集まるプラットフォームに戦略的に露出し、関心を引く価値あるコンテンツを継続的に提供することが重要です。

KPIとして測定すべき指標

  1. Googleサーチコンソールでブランド名(単体)のインプレッション数の推移
  2. Googleトレンドでブランド名(単体)の検索トレンドの変化
  3. キーワードリサーチツール(UbersuggestやGoogle Keyword Plannerなど)でブランド名(単体)の検索ボリュームの確認

上記3つの方法がありますが、最も推奨されるのは1のGoogleサーチコンソールによる測定です。サーチコンソールは他のツールと比較してサンプリング数が多く、インプレッションデータは実際の検索表示数に近いため、精度が最も高いといえます。ただし、ブランド名単体のキーワードでリスティング広告を出稿している場合、そのインプレッションシェアによってSEOのパフォーマンス指標が大きく影響される点に注意が必要です。ブランド名単体のリスティング広告は常に100%のインプレッションシェアを確保することが戦略的に望ましいでしょう。

ゴール2:指名検索(ロングテール)の検索順位とクリック率を向上させる

一定の知名度を持つブランドサイトを運営している場合、この目標が特に重要になります。例えば「ナイキ ダンク」と検索すると、NIKEの公式サイトが楽天やBUYMAなどのECプラットフォームを上回り、1位に表示されています。

1位を確保できているため、基本的なSEO対策は適切に実施されていると考えられます。ブランドサイトは自社商標やそのロングテールキーワードに対して定期的なモニタリングが必要です。楽天やAmazonなどの大手ECサイトに1位表示を奪われているケースは意外に多く見られます。

クリック率を向上させる方法

指名系ロングテールキーワードで上位表示が実現できている場合は、クリック率(CTR)の向上に注力します。

例えば上記のユニクロの例では、「ユニクロ ハイブリッドダウンコート」という検索クエリに対して上位表示を独占し、さらに星評価やレビュー数、価格情報なども表示されています。

「構造化データマークアップ」を適切に実装することで、検索結果にリッチスニペットを表示させ、ユーザーの注目を効果的に集めることが可能になります。

KPIとして測定すべき指標

  1. 重要な指名系キーワード50個の平均検索順位
  2. 重要な指名系キーワード50個の平均クリック率(CTR)

正確なパフォーマンス測定のためには、同一のキーワードセットを用いて平均順位やCTRを継続的にモニタリングすることが不可欠です。

Googleサーチコンソールから全獲得キーワードの平均順位や平均CTRをKPIとして設定している例がありますが、獲得キーワードの総数はテクニカルSEOの改善やGoogleの検索アルゴリズム変更によって大きく変動します。

必ず同一キーワードセットのパフォーマンス推移を比較することで、正確な効果測定を行いましょう。

ゴール3:コンテンツマーケティングによる一般キーワードからの流入増加

1と2の指名系キーワード対策と並行して戦略的に取り組むべきなのがこの施策です。

ブログなどで「〇〇とは」「〇〇 比較」といった商品カテゴリーに関する質の高い情報コンテンツを提供することで、ブランドを認知していないユーザー層にも効果的にリーチすることが可能になります。

難易度は格段に高まりますが、SEO/コンテンツマーケティングは長期的なROI(投資対効果)がWebマーケティング施策の中でも最も高いとされており、成功すれば持続的な大きなリターンが期待できます。

一般キーワードでの検索順位を向上させる方法

ブログ記事を中心とした戦略的なコンテンツマーケティングが効果的です。

競合が少ない場合は用語集やFAQページでも上位表示を狙えますが、ユーザー体験の観点からも、記事形式のコンテンツで商品理解を深めてもらう方が双方にとって価値があります。

以下は効果的な記事タイプの例です。

  • 〇〇とは(基本概念の解説)
  • 〇〇の使い方(活用方法のガイド)
  • 〇〇の種類一覧(製品カテゴリーの網羅的解説)
  • 〇〇が解決する課題(問題解決型コンテンツ)
  • 〇〇と〇〇の比較(製品比較・選定ガイド)

企業サイトであれば上記のようなコンテンツが特に効果的です。

自社で対応できないトピックについては、アフィリエイトパートナーや提携メディアを戦略的に活用する方法も検討すべきでしょう。

コンバージョン設定

コンテンツマーケティングを実施する際に重要なのは、適切なゴール(コンバージョン)設定です。

一般キーワードで検索するユーザーは購買意欲がまだ成熟していないため、記事閲覧後すぐに商品購入に至るケースは稀です。

そのため、このトラフィックに対しては直接的な売上ではなく、メールアドレス登録などのリード獲得や、マイクロコンバージョンと呼ばれる中間目標を戦略的に設定するのが効果的です。

  • メールニュース登録
  • 会員登録
  • SNSフォロー
  • ブログ記事から商品ページへの遷移数

KPIとして測定すべき指標

  • 一般キーワードの検索順位推移
  • オーガニックトラフィック数
  • リード獲得数
  • Googleアナリティクスのアシストコンバージョン(オプション)

Googleアナリティクスのアシストコンバージョン機能や、マルチタッチアトリビューションモデルを導入したコンバージョン計測により、EC売上への貢献度を正確に可視化する方法もあります。

まとめ

今回は、ブランドECサイトがSEO対策を行う際の効果的なゴール設定と具体的な施策について解説いたしました。

ご精読いただき、ありがとうございました。